A パワーボートセッティング講座

◇走航性能を左右する安定フィンの大きさ・取付位置・取付角

講座@で安定フィンの効果と有害な抵抗について少し述べましたが、フィンによる頭下げ効果も働いてくれていることも無視できません。
トップスピードに乗り切った時はスポソン底面の接水面は図1の示したように面の接水ではなく点の接水に近くなり安定フィンによる直進性が保たれていることがわかります。

図1
                

旋回時のスピードのアップと左右の旋回半径を小さく走りぬくかを追求していく過程でわかったことですが船体に合ったフィンの大きさ・取付位置・取付角がスピードに大きなかかわりを持っていることです。
安定フィンの効果については図2.3を参考にしてください。

図2
       
図3
       

@安定フィンの大きさの決定(図2を参考)
A左右の旋回時の巻き込み防止(フィンの下げ角調整)
Bカジの切れを良くする(取付位置を内側に移動)
※フィンを立て過ぎると急旋回時の巻き込み防止には効果大ですが、大きな抵抗になるばかりではなく万が一      ゴミなどを引っかけレースでのトラブルがあってはならないので立て過ぎないようにしましょう。

なぜこんなにもスピードの差が出る!!

船体、エンジン、使用燃料すべてが同じであるのに?

F3000の異名を持つ
2003年シリーズチャンピオンを獲得した
大里英男氏のカプセルタイプのレディーホーク
を紹介します。

2003年3月にレース場開設、当時1周230mコースを16秒台の走りで満足して楽しんでいましたが6月にシリーズチャンピオン戦を開始以来、アレヨ、コレヨでスピードアップされ現時点(2003年11月)は1周13秒台で走りぬく選手まで出現(平均時速60Km トップスピード70Km以上)
その進化の過程を追ってみたいと思います。
ここにカタマラン艇の調整の難しさとおもしろさがあるのです。

<エンジンの性能とスクリューのかかわり>

21XM船外エンジンにスクリューX440/3を使用しておりますが、スクリューの負荷を落とし効率アップの加工法については千差万別で難しいので後で解説いたします。

◎走航時にどうしてもスピードに乗り切れないと感じた時
 @エンジンの取付位置をセットアップして行きましょう。
  やや回転が上がりスピードアップしたかの錯覚を持つと思いますがよく観察して再度セットアップを行ってみ
  てください。
  ※セットアップすることによってスポソン底面の接水面が増加して行きスピードがおさえられているのがわか
  ります。
 Aエンジンを徐々にケリ上げていく(スクリューの推力角の調整)とピッチング(ポーポイズ)を起こし走航で舞
  い上がってしまうことになります。
  これは、エンジンの能力とスクリューのマッチングのミスだと思います。負荷の少ない、スクリュー(例 X437
  /3)を使用してみますとトップスピード時には回転が伸び切った頭打ちのスピードになって不満足感が生ま
  れます。
  ここまでの方法では平均時速55Kmトップスピード65Km位(レース場での記録)にとどまってしまいました。

◎スピードを求めるには船体重量が大きな要因を持っていることは言うまでもありませんが、重心位置が非常に
  大きな問題であることです。
  写真のレディーホーク21は離水を早め接水抵抗をにがす為に船底に切りかき(ステップ)をつけてあり重心
  位置としています、図4に示したことを参考にしてください。

図4
                

トップスピード時にはスポソン底部のステップ位置より後方10cm位までが接水面とした走りにならないと理想の走りとは言えません。
※ステップの位置より前に重心位置をセットしますと、フルスロットル時の接水面積を大きくし船体をリフトさせたい為の調整で苦労するばかりか、ベストの走りの調整が不能となってしまいます。

そこで次回はチャンピオン艇の究極の走りを解剖し、そのセッティング法を紹介いたします。


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